あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら



時系列が少々飛んでますが....感想も含まれているので



【あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら】


このお話は中2の百合という少女が主人公になります。

彼女は、日々鬱屈してなにかとイライラしている。

後で反抗期だったと自ら語るが、

学校の担任や母親(シングルマザー)に対しても

反抗的...しまいには母親と口論して家を飛び出す。

けれど行く当てのない百合は裏山にある防空壕の跡に行き

その中で一晩やり過ごそうと...眠りに落ちる..

そして目を覚ますと...

百合は70年前の日本にタイムスリップしていた...


ここまでならありがちなタイムトラベル話だが...

このお話は【恋愛】がメインなのだが..

もう一つは戦中の日本..戦争というものの悲惨さや

あんなこともうやっちゃあいけないんだ...

戦争なんてどうしてするの?

くるってるとしか言いようがない...と

戦後70年たった現代っ子の百合が現代っ子の感性で

当時の戦中日本を生き抜く物語....

終戦の年1945年にタイムスリップしてしまうが...

タイムトラベルしてしまったことえの驚きや戸惑い

そしそて戦中の日本環境に溶け込む姿などが

百合の目線で描かれていきます。


そしてタイムトラベルして間もない時に助けてくれた

特攻隊の佐久間彰(後に百合が恋する相手)や

鶴屋食堂のツルさんに助けてもらい

食堂の手伝いを始めることとなる。


彰の仲間の特攻隊志願の若者たちとの

交流などがあったり、米の攻撃で

町が火の海になり、危ないところを彰が

助けてくれたりと、まさに戦時中の体験を

してしまう百合だが、そんな中でも

6歳離れた彰へ次第に百合は惹かれていく...

彰のやさしさ..自分に対してだけでなく..

他の人に対しても...

そしてまっすぐなところ...


おなかが空いて食べ物を盗んんだ少年が

殴られている...百合がその子に

ツルのお使いで手にしていた野菜などを

あげてしまう...でも見ていられない..

【早く戦争が終わればいいのに....】

それを警官に聞かれ...問い詰められる..

【なんだと...? もう一度言ってみろ!!】



この時代には言いたいことも言えない...

でも百合は反抗する...

言いたいことを言っただけなのに

殴られそうになる...

そして彰に助けられる..


ある日...百合は彰と二人で町へ出かける..

そしてかき氷の食べられるお店に入り

二人で食べる...

その時彰の口からこぼれた百合への想いは..

お互いが両思いだったとにおわせるものだった..


百合には聞こえないほどボソッと..

【可愛いな...】




そしてこの時代の母親?? と言っていいくらい

百合のことをかわいがって、そして助けてくれた

ツルとの心の交流も心温まる思いがします。

戦時中の生活の中...現代に残してきた母親のことを

思い出します。

【心配しているだろうな...会いたいな...】


あんなに周囲に対して反抗的だった百合も

この時代の生活や体験で...次第に変わっていく..

私の生きていた時代では当たり前に言えることも

この戦時の日本では言うこともできない...

死んでいく子供たちや若者たちは...

夢さえも見れない...

現代はなんて便利なのだろう...

幸せなのだろう...かと..

百合は少しづつ...変わってく..

いいや...彼女の本来の姿..

素直なまま..ありのままの百合に

なりつつあったのかもしれない...


それは彰とのやり取りでうかがい知れる..

彰に連れて行ってもらった丘に咲く百合の花絨毯で

彰には弟と妹がいることを知る。

自分は妹のような存在.....??

彰と仲間たちは、よく鶴屋食堂に来ていた。

百合も看板娘として、彼らの妹のような

存在としてかわいがられていく。


百合は思う...

負けることがわかっている(この時はタイムトラベルしている

現代人の百合だけが知っている事実だが..)

戦争に...しかも自ら死にに行くような

特攻なんてばかみたい...

百合は彰にそう言って..行かないでと告げる..

けれど...お国のため..

未来の日本のため...

日本を、君たちを守るため

この命を差し出すことへの誇り...


その前日の夜...百合は引き止めるも..

彰の意志は固かった....

お互いの想いを伝えることもなく..


そして....とうとうその日が来た...


前日の夜にツル宛に渡されていた

特攻隊志願の彼らの手紙に気づく百合。

当日の見送りにとても行くことができない百合。

そしてその中に彰がしたためた家族への手紙..

そして百合は見つける..

もう一通...そう百合宛の手紙があることを...

中身を見ることもなく、とっさに百合は駆け出した...


まだ間に合う...


彰を含めた特攻志願の仲間たちは..

人々の見送りの中、特攻機とともにいた..

もはや...二度と戻ることのないあの空の彼方へと

飛び立とうという瞬間...百合は彰を見つける..

彰が気付いた....

そして持っていた百合の花二輪のうちの一輪を

百合へと投げる...


握りしめた百合の花..と同時に百合の身体が

地面に倒れ伏した...

その瞬間...

再びタイムトラベルを起こし.

百合は現代に戻ることとなる...


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結果的に、この二人はお互いの想いを

打ち明けることはなかった...ように見える..

この時点まではね..

そして突然タイムトラベル再発動して

あけだれ世話になった恩人のツルに

何も言うこともできずに

現代に戻ってきてしまったこと...

心残りの言葉を後のほうで百合は言います。

ただし..現代に戻されてから百合は

1945年に行く前とがらりとはいかないまでも
(クラスメイトとの関係性など)

大分変ります。

母親とも素直に気持ちを打ち解けあい仲直りします。

けれど、母親から聞いた【一晩中探したのよ】という言葉に、

百合は
タイムトラベルして、戦時中の日本に行っていたことが

防空壕跡の洞穴で寝て見た夢だったかもしれないと

ふっと疑問を呈します。

あそこで私は長い間生活していたのに...


そんな折...

社会見学である場所に行くんですな~~

それが戦時中に使われていた特攻機や

彼らの遺品である物や戦死した彼らの写真などが

展示されている所だった..

そしてその中に...あの時ツルに託された

彼らの家族あての手紙を百合は見つける..

彰の仲間たちの手紙を一つ一つ見ていく百合..

そして..その中に彰の手紙が...

家族への手紙...


そして【百合へ!!!】


この手紙で彰が百合をどれほど愛していたのかを

百合は知ることとなり...

思わずその場にしゃがみこみ..大声で泣き続けます....


.......


最後のほうで、彰が特攻機で敵艦めがけて

突っ込んでいくところが描かれていますが、

この死の間際に、彰が百合への想いを語ります。

彰は百合のまっすぐで純真な彼女の魂を愛していたんですね~~


一緒にいたかった...

もう一度会いたい...

生まれ変わっても必ず君を見つけて..

あの百合の花が咲く丘で君に会いたい...

その時は何に遠慮することもなく

きみのためだけに生きたいと...

敵戦に突っ込む瞬間、甲板にいる敵兵を見つける彰

その時..この兵士にも

自分と同じく愛する家族や愛する人がいるんだろうな...

そして彰は機体を傾けて、海へと.....




追記━━━━━━━━━━━━━━━

ここで終わる話なのですが、

最後に伏線として、

現代学校生活に戻った百合が下校するときに、

グラウンドをフェンス越しに除いている

同じ年の少年を見つけるのです。

実は彼は編入してきた百合と同学年の

転校生なんだけど..

彼を見たとき..百合は気づくんです>

【彰の生まれ変わりだ】とね...

この小説はここで終わりですが、

続編として、この彰の生まれ変わりだとされる

少年と百合のその後のことを描いたものが

こちらで観ることもできます。

【あの夏の光の中で、君と出会えたから。】
https://www.no-ichigo.jp/


結果的に報われなかった彰と百合ですが...

この続編でハッピへーエンドな終わり方になっていました

個人的には続編いらないですが...
(作者さんはアンハッピーにはしたくなかったようですね..作者コメ確認)

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら

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